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お悩み解決コラム

【獣医師が教える】犬の春に起こる花粉症トラブル

2023.5.15

■春には寄生虫や細菌、花粉症など原因がたくさん

春には、気温が上がり植物や動物の活動も冬よりも活発化します。植物からの花粉が飛び始めると、わんちゃんでは目や鼻に付着し花粉症の症状を起こすだけでなく、花粉をアレルゲンとするアトピー性皮膚炎の症状も悪化することが多いです。

 

春に増える要因はさまざま

●花粉
●ノミ
●黄砂

など、特に花粉に関しては皮膚に付着してアトピー性皮膚炎などを悪化させたり、目に付着して目の周りを炎症化させることにも繋がります。

 

皮膚バリアの低下

生活する環境内に花粉やノミなどの刺激物が皮膚に付着し、トラブルを起こします。元々、アレルギー体質の場合は、悪化してしまうことが多いです。また、梅雨の時期に高温多湿になる環境では、膿皮症などの症状を持っている子ではさらに皮膚バリアが低下するため、症状が悪化することがあります。

涙やけの増加

多くは、要因が目に付着することで涙の分泌量が増加することで起こります。また、花粉などが含まれた涙が皮膚に流れてしまうと痒みが発生し、自身で顔を掻いてしまうことで、炎症化してしまうこともあるでしょう。

 

 

■春の花粉症対策

お出かけの時間を考える

気温が高い日や風が強い日など花粉が飛びやすい日は、おでかけを控えると良いです。

花粉など要因の付着を防ぐ

わんちゃんの被毛には花粉や黄砂などがつきやすくなっています。それぞれ部屋の中に入る前に行うことが大事です。
(散歩中)
・服を着せる
(散歩後)
・散歩後のタオルオフ、ブラッシング

 

スキンケア習慣

普段よりこまめにシャンプーを行うことも大事ですし、この時期に保湿効果が高く皮膚バリアを保護してくれるような保湿剤などを付け加えるのもポイントです。

 

■花粉症への対応は、アイケアも必須

わんちゃんの涙やけは、涙の量が多くなったり、涙の排泄がうまくいかなかったりすることで発生し、繰り返すことの多い症状です。特にトイプードルやマルチーズなどの犬種で見られます。

 

アイケア1:涙の拭き取り、涙やけの拭き取り

コットンやガーゼにアイケア用のローションをとり、優しく目の周りをふやかしながら拭き取ります。ここで大事なことは、「ふやかす」ことです。ゴシゴシ無理に取ろうとしてしまうと、余計に目の周りが炎症化してしまいます。
ローションは、涙ケアに特化したものはもちろんのこと、炎症化を落ち着かせるものやかゆみを抑えるものが含まれるとより効果が期待できます。

 

番外編:こだわりたいアイケア成分

①汚れ落とし

■水やお湯

軽度な涙やけは、水やお湯でふやかすことで落ちることがあります。使用する水に関しては飲用水、可能であれば精製水を使うことが理想的です。

 

■アルカリ電解水

水やお湯よりも着色汚れを分解することができ、除菌効果も期待できます。アルカリ性電解水は、飲用も可能で、医療機器などでは胃腸症状改善効果として認められた商品もあります。

 

②保湿やプラスαの成分

■フコイダン

海藻に含まれるネバネバ成分で、保湿力の持続があり、抗炎症作用やダメージを受けた細胞の再生など多くの効果効能が報告されています。

 

■リピジュア(ポリクオタニウム類)

リン脂質をモデルにして作られた成分で、保水力が高く、保湿力を持続させます。コンタクトレンズ商品や医療機器など幅広く使用されています。

 

③添加物

添加物は、最低限のものをおすすめします。添加物はご飯は同様、目から入れるものも体を周り、涙として排出されることもわかっています。目から排出される成分によっては、涙やけの原因となるもの

 

④ご飯について

基本的に、涙やけの原因はタンパク質や脂質にあります。その次に添加物や薬剤などの成分が涙から排出されることで影響してくることも。年齢や代謝、疾患の状況にもよりますが、できるだけ添加物が少なく、タンパク質や脂質が高すぎないもの、品質が良いものを選ぶことが良いでしょう。

 

\ フコイダン&リピジュア配合!/

 

アイケア2:目のマッサージ

涙の流出部分であるマイボーム腺が脂などで詰まりが出た場合、多く涙が排出されてしまいます。その場合はマイボーム腺を含む上瞼を軽くマッサージしたり、蒸しタオルなどで温めたりすることが効果的です。

頻度は1日2回程度できると良いでしょう。

 

 

最後に:スキンケアやアイケアで皮膚トラブルの予防が大切

犬の皮膚トラブルは、動物病院へ来院する主訴としても上位を占めます。春になるとノミなどの寄生虫によるトラブルは予防をお勧めされることも多いと思います。予防できるものはもちろん予防することが大事ですが、皮膚のトラブルや目の周りのトラブルは、家でのスキンケアやアイケアが大切な予防の1つとなります。症状をほっておくと長期的な治療が必要となるケースが多いため、常日頃からスキンケアやアイケアを意識し、トラブルが起こった場合は早めに動物病院を受診しましょう。

 

執筆者:渡邊遥(獣医師)

 

 


 

獣医師プロフィール

渡邊遥さん

Haruka Watanabe

2015年日本大学卒業し、獣医師資格を取得。

小動物臨床だけでなく、ペット関連企業での研究開発や商品開発、全国複数店舗の動物病院の経営を管理を経験する。2021年より、福岡県内にてフリーランス獣医師として診療業務を担うとともに、病院内の組織構築やバックオフィス管理のサポート、ペット関連事業や商品のサポート事業を展開。2022年には新たに往診専門のおうちdeペットクリニックを開院。新たに訪問サービスを展開し、より利用しやすい診療の提供するとともに、飼い主の声を聞くことでニーズをつかみ、さらなる動物業界の発展を目指す。