fbpx
お悩み解決コラム

【医療ルネサンス 】アトピー性皮膚炎 ステロイド治療 粘り強く

2021.9.14

「一時は、ステロイド薬の塗りすぎで悪化したと思っていた」。
アトピー性皮膚炎の治療を20年近く続けてきた横浜市の女性会社員 (37)は、こう振り返る。

 

大学時代の2003年頃 に、肘の内側のかゆみがひどくなり、地元の皮膚科で アトピー性皮膚炎と診断さ れた。

処方されたステロイ ド薬を1週間ほど塗ると、 きれいになり、かゆみもな くなる。薬をやめてはぶり返し、また塗ることを繰り返すうち、湿疹は首や膝の裏側や、顔にも広がった。

「何を塗っても効かないし、信じられない」。

治療 に不信感を抱いた女性は14 年春、「ステロイド薬を使わない治療」を掲げる東京都内の皮膚科医院を知っ た。

「ステロイドの塗りす ぎだ。何もしなければ良く なる」と医師に言われ、薬をやめた。背中は傷だらけになり、あおむけになれなれない。
炎症でジュクジュクとした皮膚が乾燥すると肌着に張り付く。

「着替えが 拷問のようでした」。

一時的に症状が落ち着いた時期もあったが、すぐに再び悪化した。

 

 

ステロイド薬への誤解 は、患者側だけでなく医療側にも根強い。ステロイド 薬は「最強」から「弱い」 まで5段階ある。重症度に応じて薬を選び、 必要な量を一定期間塗らないと十分に効果が出ない。

 

あたご皮フ科(東京)の副院長の江藤隆史さんは 「医師が適切な強さと必要量のステロイドを処方していないケースも目立つ。

患者も一時的に皮膚がきれい になっても自己判断でやめず、しばらく続けることが大事だ」と説明する。

塗り方が不十分だと、 炎症によるかゆみが我慢できず、かくことで皮膚が傷ついてこじらせやすい。ステロイドは長期間使うと、皮膚が薄くなったり多毛になったりする副作用があるが、適切な治療を続ければ 減薬や休薬も可能になる。

 

女性はステロイドを使わずに過ごして7年余りたった今年7月、「もう一度し っかりステロイド薬による治療をやり直そう」と、あたご皮フ科を訪ねた。

激しいかゆみで眠れない日々が 続き、家族を不安にさせることに疑問を抱き、インターネットなどで情報収集した末の受診だった。

現在、5段階のうち2番目に強いステロイド薬や保湿剤を毎日2回使う。背中にしぶとく残っていたかき傷も薄らいだ。

併せて月数回、紫外線を全身に浴びる 「ナローバンドUVB療法」 も受けている。かゆみを伝える神経線維を減らす効果 があるとされる治療だ。

 

江藤さんは「治療がうま く行かない場合の次のステップも含めて、医師が明確 な目標を示すことが重要 だ。患者も病気に向き合い、 粘り強く治療を続けてほしい」と話す。

讀賣新聞 2021年9月14日(火) より引用