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お悩み解決コラム

【獣医師が教える】犬の冬に取り入れたい皮膚トラブルへのケア

2023.1.30

 

動物病院では、アトピー性皮膚炎を始めとした犬の皮膚トラブルを理由とした来院が多くいらっしゃいます。皮膚トラブルの予防としては、家での生活環境や食事、そして何よりもスキンケアを日頃から行っていることが重要です。この冬の乾燥した空気、また部屋での暖房により、犬の皮膚がカサカサしたり、フケが出てきたり…痒みが出てくると犬が舐めたり掻くことでさらに悪化していきます。犬の冬に起こる皮膚トラブルを避けるためにも要因を理解し環境を整え、日頃からプラスαのスキンケア対策をしていきましょう!

 

来院理由トップ!必ず知っておきたい皮膚トラブルのあれこれ

ペット保険会社のアニコム損害保険株式会社によると、2021年の調査(アニコム白書)で犬におけるペット保険の請求額は皮膚疾患が一番多いと報告されています。また、アトピー性皮膚炎の初期症状が出る0歳〜3歳からすでに皮膚疾患の請求が多いことも報告されています。

皮膚トラブルの要因
多くは、皮膚のバリア機能が何かしらの原因で弱まり、そこに外部などから刺激がありトラブルを起こします。そのほかには、アレルギー体質であることや生活する環境内に花粉やノミ・ダニなどの刺激物が存在することなどが挙げられます。

皮膚トラブルの症状
●痒み
●フケ
●赤み
●脱毛
●匂い
●脂漏症

 

よく見られる犬種
柴犬、シーズー、パグ、フレンチ・ブルドッグ、ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア、レトリバー種、ダルメシアンなどが多く来院されますが、他の犬種でももちろん見られます。

 

長期化するので早期治療、予防が必要
皮膚トラブルは軽い症状や原因となる刺激物が取り除くと治るケースもありますが、アトピー性皮膚炎などのアレルギー性皮膚炎は、長期的に症状と付き合っていきます。長期的に付き合う中で、強い症状が出ないように症状が軽いうちに対処することや、症状が悪化させないために皮膚のバリア機能を衰えさせない、生活環境や食事を管理することが大事です。冬の乾燥は、特に皮膚バリアを弱らせる要因となるため、要因を整理し対策をしておきましょう。

 

 

冬の乾燥時期犬の皮膚トラブルを招く環境要因と対策

室内の温度や湿度管理は適切に行う!
犬の皮膚は保湿成分のある角質層は人よりも薄く、冬の乾燥した空気や室内の暖房により、乾燥からくる皮膚トラブルが多くなります。
また、人において「温度・湿度、音、光」は休息に影響を及ぼす要因です。犬においても同様に十分な休息に温度や湿度は影響しているでしょう。休息が取れずにライフスタイルが崩れたり、ストレスが溜まることも、皮膚のトラブルにつながります。
部屋の温度や湿度は、年中を通して一定に保つことが理想的です。

適切な温度:20〜26度(犬種やコート種で違ってきます)
適切な湿度:50%前後

 

エアコンや加湿器などの家電の洗浄、消毒、保管は適切に!
エアコンなどの暖房器具や加湿器は、埃や細菌、ウイルスなどの外部刺激物を溜め込みやすい家電です。溜め込んだ刺激物質を部屋中にばらまき、犬に付着し刺激となり皮膚トラブルを招きます。また、犬は人よりも目線が低いため、床などに付着した物質を取り込みやすくその他のトラブルを起こす可能性もあります。エアコンの定期的な掃除、加湿器の使用方法、洗浄は適切に行いましょう。

 

 

冬に取り入れたいプラスαの犬のスキンケア

季節ごとのシャンプー剤や保湿剤などを取り入れよう!
冬は、皮膚が乾燥しやすく、皮膚の潤いや皮脂成分がなくなりやすい時期です。この時期は、シャンプー剤によっては余計に皮脂成分を無くしてしまうため、シャンプーすることでどんどん皮膚の水分等がなくなり乾燥し、皮膚トラブルを招く場合があります。

シャンプーや保湿剤に含まれる保湿成分としては、代表的なセラミドや尿素など。最近では、下記のような、保湿力に加えて「プラスαな効能をもつ」成分もあります。

 

●フコイダン


海藻に含まれるネバネバ成分
保湿力の持続があり、抗炎症作用やダメージを受けた細胞の再生など多くの効果効能が報告されています。

 

●リピジュア(ポリクオタニウム類)

リン脂質をモデルにして作られた成分
保水力が高く、保湿力を持続させ、コンタクトレンズ商品や医療機器など幅広く使用されています。

 

 

ブラッシングやトリートメントなどの被毛ケアを取り入れてみよう
冬は被毛も毛玉や切れ毛が発生しやすくなります。適切なブラッシングやトリートメントなどで、常に新鮮な被毛で体表を覆うようにしておくことで、皮膚を外部からの刺激から保護することに繋がります。

 

 

最後に:皮膚トラブルは早めに動物病院へ

犬の皮膚トラブルは、動物病院へ来院する主訴としても上位を占めます。冬を迎える前に、愛犬の皮膚の状態を知っておくことはもちろんのこと、食事や環境などを整えることがとても大事です。皮膚のトラブルは、ほっておくと長期的な治療が必要となるケースが多いため、常日頃からスキンケアを意識し、トラブルが起こった場合は早めに動物病院を受診しましょう。

 

執筆者:渡邊遥(獣医師)

 


 

 

獣医師プロフィール

渡邊遥さん

Haruka Watanabe

2015年日本大学卒業し、獣医師資格を取得。

小動物臨床だけでなく、ペット関連企業での研究開発や商品開発、全国複数店舗の動物病院の経営を管理を経験する。2021年より、福岡県内にてフリーランス獣医師として診療業務を担うとともに、病院内の組織構築やバックオフィス管理のサポート、ペット関連事業や商品のサポート事業を展開。2022年には新たに往診専門のおうちdeペットクリニックを開院。新たに訪問サービスを展開し、より利用しやすい診療の提供するとともに、飼い主の声を聞くことでニーズをつかみ、さらなる動物業界の発展を目指す。

 

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