アトピーの基礎知識「原因」
どうしてアトピーになるの?
アトピーは、アトピーになりやすい「体質的要因」と、アトピーを引き起こす「環境的要因」が重なった時に発症すると考えられています。「体質的 要因」とは、遺伝的にアレルギー反応を起こしやすい体質の「アトピー素因」と、アレルゲンが進入しやすく外部刺激に弱い体質の「バリア機能低下」があります。「環境的 要因」には、食べ物やダニ、花粉などの「アレルゲン」や、汗や衣類による摩擦などの「刺激」があります。また、ストレスや寝不足、偏った食事なども要因と考えられています。
■体質的 要因
(1)アトピー素因
生まれつきアレルギーを起こしやすい体質です。体には、細菌やウィルスなどから体を守る「免疫機能」があります。しかし、アレルギーを起こしやすい体質の場合、この免疫機能が過剰に働き、細菌やウイルスだけでなく、ダニやほこり、食物などに対しても過敏に反応し皮膚の炎症を起こしてしまいます。
(2)肌のバリア機能低下
皮膚が外部からの刺激に弱い状態です。
健康な皮膚にはバリア機能が備わっており、ウイルスや細菌などのアレルゲンの侵入を防ぎ、汗やほこりなど外部の刺激から肌を守っています。しかし、バリア機能が低下した肌では、皮膚表面の角質層に水分や油分が不足しているため、アレルゲンが侵入しやすく、また、汗や化粧品、衣類の摩擦などの刺激に弱くなっています。アレルゲンの侵入や外部の刺激によって、かゆみが起こります。
■環境的 要因
(3)アレルゲン
アレルギー症状の原因になる物質のことです。
卵や牛乳、小麦や大豆、蕎麦などの食べ物や、ダニやカビ、フケ、ほこり、花粉、動物の毛などがあります。
(4)刺激
汗やよだれ、食べこぼし、化粧品、石鹸やシャンプー、衣類の摩擦、髪の毛などがあります。
(5)その他
ストレスや睡眠不足、疲労、偏った食生活などがあります。
アトピーは、複数の要因が重なって起こる病気
アトピーは「多因子性」の病気であるため、複数の要因が重なって発症します。
例えば、アトピー体質であってもアトピーにならない方もいますし、アトピーになる方もいます。アトピー体質ではない方が、大人になってアトピーになる場合もあります。また、同じシャンプーや石鹸を使っても、症状が出る方と出ない方がいますし、ある時はアトピーの症状が出ても、ある時はアトピーの症状が出ない場合もあります。これは、アトピーが複数の要因によって引き起こされる「多因子性」の病気だからです。そのため、原因を特定して治療するということが難しく、アトピーの治療には時間がかかるのです。